できる日もあればできない日もあるADL

介護サービスの内容を決める上で、ADLの状態を知ることは非常に重要なポイントです。ADLは日常生活動作のことで、食事や排泄、入浴といった最低限必要な行動が含まれます。ADLの評価は、いくつかある評価方法に則って行われますが、中でもよく活用されているのがFIMです。運動項目と認知項目に大別した評価方法で、介助がどの程度必要か細かく採点して評価します。総合点数が高ければADLも高いということで、介護の必要性は低いということになります。

ADLが問題なくできていれば介護を受ける必要はないのですが、今日できていても明日にはできなくなるかもしれません。そうした状態が続くようになれば、介護の必要性が出てくるでしょう。しかし、当たり前のことができなくなる日が来た、という事実はご本人のみならず、そのご家族もショックを受けるものです。特にご本人のプライドもありますので、認めたがらない人も少なくはありません。

またADLは、現在介護を受けている高齢者の生活の質(QOL)を向上させるための指標となります。QOLと日々生き生きと高齢者が暮らせているか、満足しているかという点を評価するときの判断基準となっているものです。だから、ADLが十分できていてもQOLが低い高齢者もいるということになります。

介護に当たる側は、ADLはできるかできないかの二者択一ではなく、できる日もあればできない日もあるということも含めて介護の方法を考えることが大切でしょう。高齢者やその家族の気持ちも慮って介護を考えることは、技術はもちろん精神的なスキルアップにもなるのではないでしょうか。